蛮茶庵

フォト・エッセイ ごまめの歯ぎしり
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# 主語と動詞の関係 samedi 5 aout 2006
 八月三日につぎのやうに書きました。「ある時期から片岡の「僕は」といふ文章に煩わしさを感じるやうになつてしまひました」。それはつぎのやうなところから肯けるのではないでせうか。BE動詞とHAVE動詞を取上げて、考へて見ました。例は英語とフランス語の活用比較です。

   I am      We are   Je suis  Nous sommes
   You are    You are  Tu es   Vous êtes
   He, She is  They are  Il, Elle est Ils,Elles sont

   I have     We have  J'ai    Nous avons
   You have   You have  Tu as   Vous avez
   He, She has They have  Il, elle a  Ils, elles ont

 英米語のBe動詞にあたるフランス語の動詞はÊtre、Haveに相当するのはAvoirです。

 英米語のBe動詞とHave動詞の変化とフランス語のその変化をよく見比べてください。
***  秩序・理路整然 西欧を形容していへばさうなるか  ***

 Be動詞の変化は主語が一人称単数と三人称単数だけです。Have動詞においては三人称単数において三単現の変化があるだけです。それに比べてフランス語の変化はどうでせうか。ÊtreもAvoir同じものはひとつもありません。すべてが変化するといふことはそれだけフランス語は主語と動詞の結びつきの絆が強いといふことです。フランス語はルールに従つて変化する規則動詞といふのがあります。語尾がerで終る語が一般にそれに該当します。それさえもつぎのやうに変化します。例は原形marcherの活用です。
   Je marche      Nous marchons
   Tu marches     Vous marchez
   Il,Elle marche    Ils, Elles marchent
一人称単数のJeと三人称単数Il,Elleが同じで後はみんな活用の仕方が違ひます。

 これらは主語と動詞が切つても切れない関係であることを示してゐます。日本語はどうでせうか。日本語にも動詞の活用はあります。未然形、連用形。終止形と態に従ふ動詞の変化です。しかし、これは人称とは結びつかない活用です。私が考へやうが、お前が考へやうが、あの人が考へやふが、誰が考へやうが「考へる」は「考へる」です。人称に従ふ動詞の変化はありません。だから動詞の前に「私は」と挿入されると違和感を感じるのだと思ひます。

 日本語は誰が考へてゐるかは文脈で判断します。文脈を把握すれば主体が判明します。そのやうな言語です。だから動詞の前にわざわざ「私」とか「あの人」とかを持つてくると煩わしく感じるのだと思ひます。
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