蛮茶菴

フォト・エッセイ ごまめの歯ぎしり
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# 反対しながら、すでに「共謀罪」を導入してゐる東京新聞 samedi 29 avril 2017
20170429
   < 時期が遅れてしまひましたが・・・ >

日本のマス・メディア(新聞もTVも)の報道が、いかに偏つてゐるのか、いかに悪質なものなのか、いかに権柄で、いかに横暴で、いかに有無を言はせない傍若無人なものか、それもいままでいかに正義面をして振舞つてきたか、その実態がネット社会のおかげで、やつとわかるやうになつてきた。

ネット社会が出現する以前は、ニュースを知るのは、日本のほとんど大多数の家庭では、定期購読してゐる一社の新聞に限られてゐた。その紙面で、ほとんどの日本人が、ものの見方、考へ方、感じ方を教へこまれてきた。ネット社会以前では、複数の新聞を、読み比べるといふことは、家父長制の父親の権威や新聞の講読料のことなどの諸事情があり、考へも及ばなかつた。

しかし、いまや与へら、提示され、教へ込もふとするマス・メディアの報道に疑ひを抱く人は、ネットを利用すれば、疑問や違和感に応へてくれる情報が存在し、それを知ることができるやうになつたのを知つた。

いまや新聞離れした多くの若い世代を筆頭にして、マス・メディアの報道を信じない人たちが増えつつある。さういふ現実がありながら、しかしもう一方で、マス・メディアは過去の栄光にしがみつき、過去を死守したいがために、現実を無視して、いまも自分の都合の良い報道にしがみついてゐる。

今年の二月二日朝刊に、地方新聞ではあるが、東京新聞につぎのやうな署名記事が掲載された。

「ニュース女子」問題 深く反省 沖縄報道 本紙の姿勢は変わらず
 
 本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会の東京MXテレビ「ニュース女子」一月二日放送分で、その内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません。

 加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません。

 残念なのは、そのことが偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪(ゆが)めて伝えられ皆で真摯(しんし)に議論する機会が失われかねないということでもあります。

 他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します。

 多くの叱咤(しった)の手紙を受け取りました。 
 「一月三日の論説特集で主幹は『権力に厳しく人に優しく』と言っていたのにそれはどうした」という意見がありました。

 それはもちろん変わっていません。
 読者の方々には心配をおかけし、おわびします。
 本紙の沖縄問題に対する姿勢に変わりはありません。
 (論説主幹・深田実)

さらにこの記事の下に、漢数字の使ひ方からして、別の人が書いたと思はれる。問題となつたニュース番組の説明記事が掲載されてゐる。

◆「ニュース女子」問題とは
 東京MXテレビは1月2日放送の番組「ニュース女子」で冒頭約20分間、沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリコプター離着陸帯建設への反対運動を取り上げた。本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会を務めた。

 「現地報告」とするVTRを流し、反対派を「テロリストみたい」「雇われている」などと表現。反ヘイトスピーチ団体「のりこえねっと」と辛淑玉(シンスゴ)共同代表(58)を名指しし「反対派は日当をもらってる!?」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」などのテロップを流した。辛さんは取材を受けておらず、報告した軍事ジャーナリストは高江の建設現場に行っていなかった。

 MXは「議論の一環として放送した」とし、番組を制作したDHCシアターは「言論活動を一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは言論弾圧」としている。辛さんは名誉を侵害されたとして、1月27日、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に申し立てた。

 のりこえねっとは沖縄の現場から発信してもらう「市民特派員」を募集、カンパで捻出した資金を元手に、本土から沖縄までの交通費として5万円を支給。昨年9月から12月までに16人を派遣した。

そこで東京新聞副主幹の司会者長谷川幸洋がどのやうな発言をしてゐたか 『ニュース女子』 #91 から文字起こしをしてみた。なほカッコ内の補足は蛮茶菴がした。

これ(沖縄への飛行機代)はだれが出してゐるの?

地元のメディアは(反対運動に)シンパシーがあるから(取材できる)

普通のメディアは報じやうと思つたら、報じられない(わけ?)

つまり、あなたはだれですか?井上さんといふ人です。

ちよつとききたいのはお金(のこと)ですよ。

五万円日当を(これは飛行機代金五万円と勘違ひしてゐる)・・・

これ(飛行機代)はだれが出してゐるの?

まあ、この手の反対運動で、たとへば怪我人が出るとか、ましてや死者が出るとかして、そんな話にでもなつたら、それこそ火がついてしまふからね。

ああ、それで、また、もめると。

ああ、さういふこと。

井上さんご苦労様でした。

また機会があつたら。

以上が司会者の発言である。この発言のどこに虚僞、ヘイト、デマの問題発言があるのか。

この発言で「ニュース女子」で司会をする東京新聞の長谷川幸洋は東京新聞論説副主幹の任を解かれ、降格されたといふ。

文字起こしした発言からもわかるやうに、長谷川本人は虚僞発言も、デマ発言も、ヘイト発言もしてゐない。

だのに東京新聞は長谷川本人とは無関係に、謝罪記事を掲載し、謝罪し、挙句に、長谷川幸洋論説副主幹を罰し、降格処分にしたといふ。『共謀』したとみなされて、『罪』された、としか思へない。あれだけ共謀罪に反対しながら、自らは共謀罪を適用して自社の社員を罰する。呆れた所業である。

それに、ここでいはれる報道姿勢とは何なのか。報道は、事実を、多面的多次元的に、公平に、偏りなくするのが常識だらう。その他にどういふ報道姿勢が必要なのか。

報道は、社の方針、社の社説の主張、イデオロギーに基づかなければいけないのか。変ではないか。低次元で話にもならない記事である。

新聞社の意向に沿はないから論説副主幹の長谷川幸洋はダメだ、とわざわざ公の新聞紙面を割いて言つてゐる。だれに、またはなにに忠誠を誓つて、忠義を尽くすのか。

東京新聞の意向は、右と左なら、左。その意向に基づいて報道されるものなのか。左は常に正しい。東京新聞の記事はさういふものだ、と断言してゐる。愚にもつかない、知られたらまずい低次元な話を臆面もなく記事にして載せてゐる。

日本のマス・メディアは、無邪気にといふか、妄信してといふか、愚かといふのか、アメリカのマス・メディアを模倣して「権力を監視する」のが至上の務めだと信じて疑はない。本来権力を監視するのは有権者一人一人であつてマス・メディアではない。それが民主主義である。

メディアは単なる報道機関にすぎない。メディアに接すればわかるが、メディアに、特に日本のマス・メディアに「権力を監視する」能力はない。

メディアの最重要な仕事は、国民各人に考へてもらふために、多面的多次元的に公平に偏りなく出来事を報道することだ。これを蔑(ないがし)ろにして、権力を監視したり、国民を教育しなかればならないといふ思ひ込みは、不遜そのものである。

色付けや、断定や、偏見のない多面的多次元的な報道、多様な文脈のなかに置かれた報道、人々はそれら偏りのない情報に基づいて考へる。辛抱の要る大変な道程だが、これが民主主義の在り方だ。よりよい民主主義を育てるためには忍耐強く、これをどこまでも辛抱強く繰り返し実行していくしか方法はない。

それを奨励することなく、なにを勘違ひしたのか、歴史の浅いアメリカの受売りを信じて、考へもせず、鸚鵡返しよろしく「メディアは権力を監視する」と臆面もなく、声を張り上げて日本のマス・メディアは主張する。間違つた果てに、国民の上にたつて、号令をかけて憚らない。

かういふ土壌に民主主義は育たない。なによりもまず第一に、マス・メディアからして人間を信じてゐない。組織が、人間を超え、人間を押さえつけ、人間を蔑ろにし、人間を愚弄し、人間を無視してゐる。人間の考へではなく、組織の考へが最優先されるのである。

権力の監視者だといつて、だれ憚らないマス・メディア。イエスかノーの二者択一、二値的な価値しか認めないマス・メディア。独裁者そのもののマス・メディア。そのマス・メディアが、表向きは民主主義を賞讃しながら、しかしその裏では、舌をべろりと出して、民主主義を粉微塵に破壊、崩壊させてゐる。

俺様は全てを牛耳る真の支配者。影の独裁者。歪んだ権力者。さう俺様は日本のマス・メディアだ。
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